ザ・シンフォニカ第22回定期演奏会


日時
1997年7月20日(日)14:00開演(13:30開場)
場所
昭和女子大学人見記念講堂 (東急新玉川線 三軒茶屋下車 徒歩5分)
入場料
全席自由:2,500円
指揮
三石 精一
ソリスト
曲目

チケット取扱い
チケットぴあ (03−5237−9999)

イタリア音楽への想い

今回の演奏会の指揮者三石 精一氏からのメッセージです。

日本人は一般的にドイツ音楽が好きですし、オーケストラの演奏会でもドイツの作品が主流を占めていますが、演奏者にとって観念的で伝統を重んじるドイツ音楽へのアプローチは決して容易ではありません。その点ラテン系の音楽は感覚的にとらえる事ができるので日本人にとって格段に演奏し易い様に私には思えます。残念ながらイタリアの管弦楽作品は同じラテン系のフランスやスペインと比べても非常に少なく、演奏会で取り上げられるのは、今日演奏されるレスピーギのローマ三部作位なものですが、その貧困さを補って余りあるのがオペラ作品です。特に日常的な出来事を題材としたヴェリズモと呼ばれる作品群は聴くものの感情に直接的に強くうったえるものがあって私は大好きです。指揮していて自分の血が騒ぐ程の感情の昂揚を覚えるのはイタリアオペラにしか無いものであって、その独特の魅力は一度指揮したら忘れられないくらい強烈なものです。


指揮者の紹介

指揮者:三石 精一(Seiichi Mitsuishi)

東京芸術大学指揮科卒業。1956年、メノッティ作曲「泥棒とオールドミス」、「電話」の指揮でデビュー、1959年には、ブリテン作曲「小さな煙突掃除」、ラヴェル作曲「スペインの時」を日本初演するなど、藤原歌劇団指揮者として主に歌劇やバレエの指揮者として活躍する一方、1969年8月読売日本交響楽団を指揮して第1回リサイタルを開いて絶賛を博し、その後各オーケストラに客演している。1973年渡欧、ヨーロッパ各地でオペラ及びオーケストラの研鑚を重ねた。1977年12月から文化庁在外研修員として派遣され、ウィーンとミュンヘンで指揮の研鑚を積み、1978年11月に帰国、1979年読売日本交響楽団の専任指揮者に就任。1981年には同交響楽団ヨーロッパ公演旅行に同行し、東ベルリンその他で大成功をおさめた。1986年3月読売日本交響楽団の専任指揮者の地位を離れ、フリーの立場で全国各地のオーケストラを指揮して活躍する一方、東京音楽大学指揮科主任教授として後進の指導にあたっている。1997年より新しく発足した東京ユニバーサルフィルハーモニー管弦楽団音楽監督、常任指揮者に就任。

副指揮:山本 訓久(Norihisa Yamamoto)

国立音楽大学音楽部器楽科(ユーフォニアム専攻)卒業。東京芸術大学大学院音楽研究科修了。指揮を山岡重信、高階正光、和声を新実徳英、ユーフォニアムを三浦徹、大石清の各氏に師事。94年文部省在外研究員として渡欧。ウィーン国立音楽大学指揮科に在籍し、U.ライオヴィッツ教授のクラスにてオーケストラ指揮法を学ぶ。現在、東京学芸大学音楽学科専任講師、桐朋学園大学講師。目黒区民交響楽団ミュージックアドヴァイザー・指揮者。


ソリストの紹介

テノール:川上 洋司(Hiroshi Kawakami)

東京芸術大学音楽学部声楽科卒業。同大学オペラ科修了。文化庁オペラ研修生第3期生修了。藤巻信夫、栗林義信、渡辺高之助、高丈二、L.グワリーニ、P.M.フェッラーロの各氏に師事。1984年から1987年までミラノに留学。1985、86年ブッセートにおける<ヴェルディの声>国際声楽コンクールに入賞。1986年トーティ・ダル・モンテ国際声楽コンクールでマリオ・デル・モナコ賞受賞。同年ベッリーニ国際声楽コンクールで第3位に入賞。1984年から1987年までにミラノをはじめ各都市で30回以上のコンサートに出演。以後、「カルメン」、「運命の力」、「椿姫」、「お蝶夫人」、「スペードの女王」、「イドメネオ」、「トスカ」、「サロメ」、「コシ・ファン・トゥッテ」などのオペラに出演し絶賛を受ける。現在、東京音楽大学助教授及び東京芸術大学講師。二期会会員。

ソプラノ:三縄みどり(Midori Minawa)

熊本県出身。東京芸術大学卒業、同大学院オペラ科修了。芸大オペラ「ラ・ボエーム」のムゼッタ役でデビュー。パルコオペラ「フィガロの結婚」のスザンナ、二期会公演「カルメン」のミカエラ、「神々の黄昏」のヴォークリンデの他、「椿姫」のヴィオレッタ、「トスカ」のタイトルロール、「魔笛」のパミーナ等数多くのオペラに主演。また演奏会形式では、「コシ・ファン・トゥッテ」のフィオリディリージ、サントリー都響ワーグナーシリーズでは、初期の作品である「妖精」のアーダ等を歌い高い評価を得る。コンサートでも各地の主要オーケストラと共演。現在、二期会会員、横浜シティオペラ会員。

バリトン:加賀 清孝(Kiyotaka Kaga)

桐朋学園大学音楽学部声楽科卒業。東京芸術大学大学院独唱科修了。文化庁オペラ研修所第二期生修了。イタリア・ボローニャ音楽院留学。「フィガロの結婚」の伯爵で二期会デビュー。他に、「セヴィリアの理髪師」のフィガロ、「ヘンゼルとグレーテル」の父親、「魔笛」のパパゲーノ等をレパートリーとして持つ。東急文化村の「魔笛(邦訳・原語上演共)」ではパパゲーノを好演した。後に抜擢され「メリー・ウィドー」のダニロで、オペレッタへもデビュー。「こうもり」のファルケ等、多数の舞台に出演。現在、桐朋学園大学音楽学部専任講師、二期会会員。

ソプラノ:松薗まゆみ(Mayumi Matsuzono)

武蔵野音楽大学、同大学院修了。国内のコンクールでは常に上位に入賞を重ね、1987年東京国際音楽コンクールでは1位を受賞。1988年イタリア・ミラノへ留学。在伊中ベッリーニ国際コンクールで第2位を受賞。帰国後はコンサート・宗教曲のソリスト・二期会オペラ公演に相次いで出演し、その安定した歌唱力は各方面から絶賛された。また海外では韓国・台湾・ニュージーランド・イタリアのコンサートをはじめ、ニューヨークの国連ハマーショルドホール・カーネギーホールに出演し大好評を得た。現在、二期会会員。


◇◇◇ バスーン♪の独り言 ◇◇◇

何といっても今回の目玉は、4人のソリストを迎えた歌劇『ラ・ボエーム』からの抜粋だろう。指揮の三石 精一氏の最も得意とする分野だが、ザ・シンフォニカとしては、過去(第16回定期演奏会(1994年7月31日):指揮/山下 一史氏)にワーグナーの楽劇「トリスタンとイゾルデ」より前奏曲と愛の死において、ソプラノに渡辺美佐子氏を迎えての演奏をしたのみで、歌劇・楽劇物は今まで殆ど手をつけていない(他に第2回定期演奏会(1987年8月1日)にてモーツァルトの歌劇「劇場支配人」序曲を演奏している(指揮:本名 徹二氏))。新境地を開拓すべく今回のプログラム選択となった。オケの機動力とセンスが問われるこの曲、その結果や如何に…。
一方レスピーギだが、ザ・シンフォニカとしては第3回定期演奏会(1988年1月16日:指揮/今村 能)にて『リュートのための古代舞曲とアリア・第3組曲』を演奏したにすぎず、『ローマ』シリーズは初挑戦。。学生時代にこれらの曲を演奏したことのあるメンバーがいるとはいえ、ザ・シンフォニカとしての完成度の高い演奏を期待したい。また、管楽器の名手達の名演も期待したい。


バスーン♪の不連続練習日記

ザ・シンフォニカって、どんなオーケストラ?

卒業してからも『いい音楽』を一緒にやりたいネ−大学時代に青少年音楽日本連合(略称ジュネス)で仲良くなった学生達のこんな思いが、1986年に一つのオーケストラを生みました。それが”ザ・シンフォニカ”です。結成当時のメンバーの中心は、大学を卒業してまだ日の浅い社会人。当初の団員数は約40名ほどだったのが、現在では100名を超える大所帯に。また、ジュネス出身以外にも様々なメンバーが加わり、いろいろな意味で幅広いオーケストラになりました。元々音楽に対して果敢なメンバーが多いこともあり、マーラー、R.シュトラウス、ブルックナー、バルトークなどの大曲もしばしば取り上げてきました。しかし、学生時代のように年中楽器を練習するわけにもいかず、時にこれらの大曲は私達に重くのしかかってきます。そんな苦難をはねのけるのは、やはり『いい音楽』をしたい、という共通の思いです。また、アマチュアではありますが、最高水準の音楽を目指す姿勢だけは決して忘れない団体であろうと努力を続けています。

ザ・シンフォニカを支える『情熱』について

いつまでもいい音楽をやりたい、との一心で大学を卒業したてのアマチュア・プレーヤーたちがオーケストラを結成して10年以上。。ペレストロイカ、ドイツ統一、EU統合、湾岸戦争、ボスニア紛争…世界では様々な変革が起こり、音楽を取りまく環境も変わってきました。しかし、時間がいくら経っても変わらないのが、音楽の持つ素晴らしさ、そして、音楽に対する私たちの情熱です。日々、様々な企業・学校等で仕事に追われる私たちが、技術や音楽性を磨きながら充実した演奏会を続けるのは、はっきり言って至難のワザです。それでも一人ひとりが団員であることに喜びを感じ、いい演奏のための努力を続ける…。それが、ザ・シンフォニカの最大の長所です。また、いつまでも、その姿勢だけは忘れずにいたいと思っています。


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